イタクラ工芸株式会社さんに遊びに行ってみました。

イタクラ工芸株式会社 一笠百業

弊社switchの巣鴨の工房より徒歩10分、同じく巣鴨にある超ご近所さんのイタクラ工芸株式会社さんをご紹介。
イタクラ工芸さんは主に徽章と呼ばれるトロフィーや記念盾などの彫刻を手がけて40年近く看板を掲げ続ける古参の「彫刻屋」さんです。
同じ製造業の仲間ですが、社長の板倉國夫氏は修行時代を含めると半世紀以上もモノづくりに携わってきた大先輩の職人で、実はお伺いする時はいつも若干緊張します。

ハイテクを積極的に導入

扉を開くと応接室があり、それを囲うようにイタクラ工芸さんの製品群がディスプレイされています。
早速拝見させていただきます。
イタクラ工芸株式会社
イタクラ工芸株式会社
現在はデジタルデータを元にコンピューターで制御されたレーザーによって彫刻する手法が主になっているようです。
彫刻を施す素材は、アルミ・ステンレス・銅・真鍮・錫等各種金属はもちろん、木・革・石・アクリル等、およそ徽章に用いられる素材ならば殆どをこなせるようです。
超微細な意匠も彫刻できる技術は、素材によっては写真も彫刻できてしまいます。
また平面のみならず、曲面に彫刻を施すことも可能です。
これらコンピュータ制御による彫刻は、あらゆる素材・形状に対応させるため、レーザー、ニードル含め数種類の機械を導入し、今や全国的にみてもイタクラ工芸さんにしかできない仕事もあるのだとか。

そしてそんなハイテク化を主導するのが2代目の純一さん。
イタクラ工芸株式会社
彼は私が主宰する「匠 〜プロフェッショナルの集い〜」と銘打ったモノづくりに限らず野心溢れるご近所の仕事人たちからなる会合の仲間です。
今回の訪問を含め、イタクラ工芸さんとのお付き合いの窓口になってくださっています。

現代の名工・板倉國夫社長

イタクラ工芸株式会社
彫刻といえばタガネを叩いて微細な文字や意匠を施していくという、職人の手による仕事であった頃に修行し、独立してイタクラ工芸を興した板倉國夫氏。
かつて、そのチャンピオンベルトに「力道山」の名を刻んだのは氏の手による仕事だという噂も。

非常に朗らかにお話しされる氏ですが、「修行時代は銭湯代しか残らなかったよ」なんてお話を聞いているので、どうしても昔気質のコワモテの職人が皮一枚内側に隠れているような気がして(超失礼!)、私ら若輩の職人はやっぱり緊張してしまいます。
上の写真は腕時計にレーザーで文字を彫刻している場面です。
新しい技術を積極的に試し、取り入れ、より効果的な活用を探り、どこまでも「より良い仕事」を追求していく姿勢に、名工の名工たる所以を垣間見る気がしました。
今でも「タガネでやってくれ」というオーダーもあるそうです。
技術の幅の広さは、当然深さにも繋がっていきます。
そんな大先輩の背中から、手技は違えど、出来るだけ沢山の事を学び、盗まなくてはいけないのです。

メイドイン近所の強み

今回イタクラ工芸さんに伺ったのは、ただ邪魔しに来たわけではありません。
前回訪問の「Ropez」さんの時同様、ご近所さんの強みを生かしてちょっとした思いつきを試してみたかったのです。
イタクラ工芸株式会社
もし完成品になったらまたご報告致しますが、このような仕事・遊びに関わらず、ちょっと試してみたいアイデアにすぐ手を動かすことができるのが、ご近所に多種多様な職人や技術者がいる強みだと思っています。

「made in japan」という言葉が売り出されて久しいですが、作り手の立場から個人的に、その売り出し方に若干違和感を感じています。
別に他所様の仕事にどうこう言うつもりは全くないです。
私の実感する国内生産の良さと、売り文句としての「made in japan」がズレてるなと。
この事については、また上手く文章に出来たら別の記事で上げたいと思います。

イタクラ工芸さんは徽章の彫刻を専門としておられますが、特に純一さんとお食事などでご一緒した時など、「思いもかけないようなオーダーがあったら面白いし挑戦してみたい」と仰ってました。
もし、皆さんの中で、この記事を見て「これは!」とピンと来た方はイタクラ工芸さんにご相談されたらいかがでしょうか?
きっと面白いと思いますよ。
►イタクラ工芸株式会社ホームページ

最後に、お忙しい中、突然の訪問に気さくに応じて頂いたイタクラ工芸の皆様に御礼申し上げます。
有難う御座いました!