修理して使うアンティーク照明③〜アンティーク再生のコダワリを共有する〜

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修理して使うアンティーク照明①〜「修理」についての認識は案外ユーザーと作り手では違う?〜

修理して使うアンティーク照明②〜アンティーク修理特有の問題〜

修理して使うアンティーク照明③〜アンティーク再生のコダワリを共有する〜

アンティークはただ実用レベルに戻れば良い訳ではない

日本人は製品の外観に対する要求が高いと言われています。
使い始めたらすぐに変化する程度の外観の瑕疵であってもB級品となってしまいます。
この神経質さが「made in Japan」の価値を高めてきた要因でもあるのですが、うっかりするとアンティークにもこれを求めてしまいます。

私は作り手としての泣き言を言おうとしているわけではないんです。
むしろこの件に関しては、私はユーザーとしてこの神経質さを正当化したいのです。

私自身も、服や時計や車バイクなどのアンティーク・ヴィンテージが好きなんですが、割と徹底したオリジナル志向のヴィンテージフリークです。
デッドストック新品同様、オリジナルレストアが好きです。
カスタムも好きですが(トヨタ2000GTのような超希少種を大胆にカスタムしてしまう人の心意気もカッコイイ)。
当然のことですが、製作から数十年が経過した製品は、どんなに慎重に保管されていたとしても完全に製作当時の状態を維持していることはありません。
使わず保管されていた方が経年の影響を受けやすい部分もあったりします。
塗料の劣化であったり、パーツの酸化であったり、ガラスの変色であったり、油脂類の硬化であったり、必ずどこかしらに経年の影響を受けています。
オリジナルレストアとは、それをできる限りオリジナルの状態に忠実に復元することですが、完全にオリジナルに戻すことは、まず不可能と言っていいでしょう。
メーカーはオリジナルの修理部材のストックの終了とほぼ同時に修理の受付も終了します。
メーカーによる仕事でない時点で、あとはどこまで妥協できるかになってきます。
オリジナル志向のヴィンテージフリークにとって、メーカーの保有する純正のパーツや塗料や、さらに神経質になるならば、当時のメーカー純正の技術によって組み立てられていなければ、もはやオリジナルとは言えなくなってしまうのです。

私自身はユーザーとして、再生というものにそもそも矛盾と言いますか、はっきり言えば”無理”を要求しかねない部分を潜在的に持っています。
ところが一方で、実際にはアンティーク・ヴィンテージを十分に楽しめています。
そこには、仕事にコダワリを持つ職人やエンジニアの仕事に対する信頼があるからだと思います。
私のこのユーザーとしてのコダワリに共感して、私の意図を出来るだけ汲もうとしてくれる職人に預けることもアンティーク・ヴィンテージの楽しみの一つなのです。

当然、私もアンティーク照明を私に預けてくださる依頼主様にとってそういう職人でありたいと思っています。

満足して頂けるアンティーク再生の実現で最も大切なのはコミュニケーション

アンティーク再生は依頼主様とコダワリの方向性をどこまで共有できるかがキモになります。
そのために最も大切なのは、当然のことですが依頼主様と作り手のコミュニケーションになります。
ですが、漠然としたイメージを共有するのは難しいですし、根気も要ります。
そこで今までのアンティーク再生の経験から、一つの目安になりそうな指標を提示してみたいと思います。
(前回モデルケースをあげると書きましたが、よくよく詰めていったらもっと単純だったので路線変更です。スミマセン)

アンティーク修理コダワリマトリックス

縦軸は純正度、横軸は経年変化度です。

ここまでの記事でもはや説明不要だと思いますが、中心・二つの軸が交差する部分に関してだけは注意が必要です。
この中心は我々作り手からみて”最もシンプルに再生したらこうなる”という状態です。
ほとんどの場合最も低コストであるか、最も短納期であるか、どちらかのご提案になると思います(これもまたほとんどの場合、この二つは同じことなんですが、稀に超高価なパーツに対して代替案がある場合等、特殊なケースもあります)。
中心の段階で依頼主様のコダワリを満たしていることも多く、ご納得いただける提案になることも多いです。
さらにこだわりたい部分があれば、是非遠慮せずにおっしゃって頂きたいと思っています。
0からどの方向にどこまでこだわりたいのか、出来る限りご希望に添えるよう仕事をさせて頂きたいと思っています。

アンティーク修理に関する記事を数回に渡って書いてきました。
正直修理というのは、作り手にとってはリスクの大きさを考えるとお受けするのを躊躇しがちな仕事です。
今日ではなかなか修理して使う事を前提とした製品自体も少なくなってきました。
もちろんその理由やメリットは十分理解しているつもりです。

ですが、どこかに作り手のエゴとして、修理しながら永く使える物を作る技術も保持していきたい、ユーザー様にもその選択肢を残して頂きたい、という気持ちがあるのです。

弊社switchでは弊社で作った製品が何十年か後にどこか別の工房に修理に出された時、そこの職人に「良くできたランプシェードだ」と褒めてもらえる製品を目指して、今後も永く使えるランプシェードを作り続けていきたいと思っています。
それを目指す以上、修理の仕事もできる限りお受けしたいと思います。

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