ランプシェードとの付き合い方

テーブルランプ ランプシェードの魅力

「部屋の模様替えに照明を替えてみよう」
「素敵なランプシェードを見つけたから自分の家で使ってみたい」

初めてランプシェードをお求めになった方、
私はその選択がとても素晴らしいものだと知っています。

ですが、特にそれまで蛍光灯やLEDなどのシーリングライトをお使いだった方は、ランプシェードに替えると初め戸惑うかもしれません。
何故ならば、ランプシェードが暗いからです。

「ランプシェードって暗いんだな」
がっかりしてまたシーリングライトに戻してしまうかもしれない。

そんなシチュエーションを勝手に妄想して、これからランプシェードをお使いになろうとしている方に向けて、老婆心ながらランプシェードとの付き合い方についてお節介な記事を書いてみます。

すでにランプシェードをお使いの方からしたら当たり前の、でもこれからランプシェードを使おうという方は案外知らないかもしれないお話です。

詳しくやろうと思うと少し面倒な話になってしまうので、思い切って単純化してお話ししてみます。

2種類の照明器具

シーリングライトとランプシェード。
同じ照明器具ですが、その見た目以上に大きく異なる点があります。
それが機能です。

照明器具は機能によって大きく2つに分類できます。
1つは部屋全体の明るさをコントロールする『ベース照明』。
もう1つが部屋の一部を照らす『意匠照明』。

『ベース照明』は、例えば作業部屋なら明るく、寝室なら暗くというように、部屋の用途やシチュエーションに応じて、部屋全体の明るさを調整するための照明器具で、基本的に部屋全体が均一の明るさになるような設計になっています。
シーリングライトやダウンライトなどがそれに当たります。また厳密にいうと微妙なラインですが、蛍光灯などを使って部屋全体を照らすようなペンダントタイプ(天井から吊り下げるタイプ)の照明器具も、”機能”という意味では『ベース照明』に分類していいかもしれません。

照明器具は明るいシーリングライトのみ、というお部屋は極々一般的です。
というのも、昼間のように明るく設定した『ベース照明』の部屋は、清潔感がありますし、気持ちも明るくなりますし、何より照明器具1つで隅々まで明るいというのは便利で経済的です。
多くのメリットがあるからこそ、多くの方に選ばれています。
これからランプシェードを使ってみようという方も、今のお部屋は『ベース照明』のみのお部屋ということが多いかと思います。

ブラケットランプ

対して『意匠照明』はテーブルやカウンターや机の上、ソファセットの上や傍、あるいは壁の絵画の上など、明るさが必要な場所に設置する照明器具です。
基本的に”その範囲”に十分な明るさのものを選びます。
現代的にはベース照明と組み合わせて使うことの方が多いです。
ランプシェードもこれに含まれます。ランプシェードにも、天井や梁から吊り下げる『ペンダント』、床やテーブルの上に置く『スタンド』など、いくつか種類がありますが、いずれも『意匠照明』です。

この2種類の照明器具の機能の差を意識せず、『意匠照明』であるランプシェードを『ベース照明』のシーリングライトの替わりに設置すると「ランプシェードって暗いんだな」となってしまいます。

照明器具としては『ベース照明』だけで十分な気がしてしまいますよね。
実際『ベース照明』だけのお部屋は多いのですから尚更です。

そもそも、ランプシェードのような『意匠照明』は何の為にあるのでしょうか?

灯りによる装飾

ランプシェードの造形が好きだから。
あると思います。

ランプシェードは照明器具であると同時に家具・調度品でもあります。
シーリングライトやダウンライトなどの『ベース照明』はその性質上、部屋の装飾性の外にあるような感じはありますもんね。
お部屋を飾りたいからランプシェードを選ぶという側面はかなり大きいでしょう。

ということは、やっぱり実用性の面では妥協してるのか。

いいえ、そうではありません。
むしろ『意匠照明』の機能を楽しむ為にランプシェードを選んで欲しいんです。

『意匠照明』は実用性としての明かり以上の魅力的な「灯り」です。
範囲を絞った照明器具によってできる部屋の明暗のコントラストは、部屋の雰囲気を演出してくれます。

ランプシェードを使ったことのない方でも決して馴染みのないものではないはずです。

レストランのシェード

雰囲気の良いレストランやカフェ。
喧騒の中でもシックな雰囲気のホテルのロビー。
落ち着いてつい長居してしまうバーのカウンター。
それらの雰囲気作りに大きく貢献しているのが『意匠照明』の灯りです。

そんな雰囲気を自分の部屋にも作りたいと、ランプシェードを選ぶのだと思います。

ランプシェードはクラシカルなルックス以上に、灯りそのものが装飾品です。
正直、部屋に暗い部分があるというのは不便な局面もありますし、ある程度慣れも必要かもしれません。
また、シーリングライトやダウンライトの灯りも決して装飾性の低いものではありません。
もし、制約がないのであれば当然、『ベース照明』+『意匠照明』がいいんです。
ただ残念なことに、特に天井には照明器具の取り付け用設備は1つだけのことも多いですよね。
もし二者択一でも、ランプシェードを選択するのは断然”あり”です。
ランプシェードにしか出せない味わいというものがあります。

是非、多くの方に試して欲しいと思っています。
部屋の雰囲気はかなり変わると思います。

ランプシェードはお部屋の演出です。

ランプシェードで照らされたお部屋でリラックスして、お酒を飲んだり、音楽を聴いたり、映画を観たり。
そんな暮らしは、きっと気持ちを豊かにしてくれると思います。

天井以外にペンダントを導入できるような提案や、不便を解消できるような工夫など、
今後もランプシェード導入の手助けになるような記事は継続的に書いていきたいと思っています。