手作りランプシェードの作り方③〜布シェードの『型』と生地の『柄』の相性

手作りランプシェードの作り方

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一枚ハギの笠には裏表がある

前回記事で、型を布から切り出す位置決めに懸念があると書きました。

貼り付けを終えるとその懸念が実体になります。

見出しでネタバレなんですが、まずは実際に見てみましょう。

実物を目の前にした私の主観では、「まあまあ、無くはないかな。」と言った感じですが、写真だと見る角度によってはアラの方に目が行ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

ウラの繋ぎ目が…

懸念の正体を端的に表す、極端に意地悪な写真をお見せします。

今回のシェードは「一枚ハギ」と言う、一枚に切り出した布を貼り合わせたシェードです。

通常、「二枚ハギ」・「四枚ハギ」など、2の倍数の布で作られたものを「〇枚ハギ」と呼ぶことが多く、一枚布で作るシェードを「一枚ハギ」とは言わないんですが、取り敢えず分かりやすく「一枚ハギ」としておきます。
「三枚ハギ」も、それほど違和感は無いとは言え、レアです。

切り出す布が一枚で済むと言うことは、工数も少なくて済むため、最もリーズナブルです。

一方で、今回のように、大きなモチーフの絵柄の生地で製作した場合、モチーフを型内に収めた上で、さらに貼り合わせ面までも綺麗に合わせるのはほぼ不可能で、ほとんどの場合ある程度割り切る部分になります。

ウラの傾きが…

さらに、一枚ハギの構造上、テーパーの付いたシェードでは貼り合わせ付近の絵柄は傾きます。

傾きに関しては別の生地を使ってお見せします。

上のような縦ストライプの生地から、型の中心で垂直水平を合わせて切り出します。

これを貼り合わせると、

オモテから見ると、垂直な縦ストライプもウラではここまで傾きます。

このデザインも、アリかナシかは、非常に主観的な判断になると思います。

個人的にはアリと言うより、むしろ好きで、360°見える場所で使いたいです。写真を撮り損ねましたが、斜め45°辺りのアングルが面白いんです。

ただ、生地選び自体を「お任せで」となったら、より無難な『無地』をお勧めすると思います。

あるいは、垂直水平の意識の薄い花柄の生地なんかも好相性です。

傾きは意識されない絵柄ですし、繋ぎ目も出来るだけブランクや細い茎部分で切れば、あまり気にならないはずです。

生地選びはシェードの型との相性もポイント

形状と生地の組み合わせは様々

生地を活かそうと思うならば、型に対して生地を選ぶのではなく、生地に合わせて型を設計するべきです。

例えば、先のサル・トリ絵柄の場合、

最大限活かす方向性で行けば、絵柄のリピートパターンに合わせて高さを決め(かなり大きくなりそうです)、繋ぎ目で絵柄が合うよう径を決めます。
当然、傾きもNGですから、寸胴型です。

型と生地との擦り合わせに対する別の回答

あるいは、そんな大袈裟な話ではないかもしれません。

単にウラに歪みが集約してしまうのを解消したいだけなら、二枚ハギにすればかなりの部分が解消されます。

一枚ハギに対して二枚ハギは、工数もほとんど2倍になりますので、後はご予算との兼ね合いで・・・と言った辺りでしょうか。

いずれにせよ、シェードの形状(構造)と生地の絵柄・図柄の相性のような物があることは、見えてきたと思います。

そして、お客様の使用環境やコダワリの優先順位が見えてくるにつれて、最終的な組み合わせも自ずと見えてくるはずです。

この組み合わせはOK・この組み合わせがNGと言う話ではない

一枚ハギのテーパー付き布シェードは、工法としては工数が少ない故に、比較的リーズナブルで、形状もオーソドックスな型です。

弊社で承るオーダーメイドや張替えなどでも、ご相談の結果この型のシェードになることも多いです。

が、この型と生地との相性についての認識の共有が難しいと感じることもあって、今回の記事を書こうと思った訳です。

アラにフォーカスして極端な見せ方をしましたが、部屋の壁際やコーナー等、使い所が決まっている場合などは、今回のような極端な絵柄ですら、全く問題ないケースもあると思います。

そもそも気になるかどうか、気にするかどうか自体も非常に主観的な問題です。

あくまでも、この相性問題に関しては、生地選びの指針と言うよりも、打ち合わせの前準備として、一応の予備知識を共有できればと考えてのお話でした。